『最強のふたり』は健常者と障がい者の友情とQOLに迫る映画

久しぶりに映画を観ました。

それもずっと観たいと思っていた映画です。

タイトルは『最強のふたり』。

この映画はフランスで社会現象を巻き起こしたとされる大ヒット感動実話なんです。

健常者と障がい者のコンビの人間ドラマということはわかっていましたが、どんな展開になるのか興味がありました。

ストーリーは、
パラグライダー事故で首から下の全身麻痺となり、車いす生活を送る大富豪（フランソワ・クリュゼ）と、
図らずして介護役に抜擢されたスラム出身の黒人青年（オマール・シー）。

共通点は全くのゼロ。

高級住宅地とスラム、ショパンとクール＆ザ・ギャング、超高級服とスウェット、教養溢れる洗練された会話と下ネタ、全介助の車いす生活とR&Bに乗ってバンプする身体などなど。

ギャップの大きすぎる二人の世界は衝突し続けるが、やがて互いを受け入れ、とんでもなくユーモアに富んだ最強の友情が生まれていく、といった内容。

この映画の面白さは、障がい者に対する固定（既成）概念をことごとく打ち破るところにあります。

例えば、クルマ。

それまで使用していた機能的な福祉車両を使わず、富豪が所有するイタリアの高級車『マセラッティ・クワトロポルテ』を、素晴らしいサウンドを響かせながらカッ飛ばします。

これこそQOL（クオリティ・オブ・ライフ：人生の質）といった感じです。

会話の１つひとつも面白い。

黒人青年の無神経さが、障がい者への配慮の無さではなく、同情や特別視をしないと受け取られる場面も納得できるところです。

映画の中の音楽も注目される要素の１つ。

アフリカ系人種が好んで聴くラップ曲かと思いきや、『アース・ウインド＆ファイヤー（E,W&F）』というセンスの良さ。

流れる曲はもちろん、このグループを代表する名曲「セプテンバー」や「ブギー・ワンダーランド」です。

そして、アフリカ系人種が先天的に持ち合わせていると思われるノリノリのダンスが、この映画をさらに盛り上げています。

ちなみに、
E,W&Fは1969年にモーリス・ホワイトが結成したグループ（結成当時のグループ名はソルティー・ペッパーズ）で、黒人グループにありがちな地域性やローカル・カラーを排して、グローバルなクロスオーバー感覚からスタートした大型グループとして注目を集めました。

この映画は、涙を誘う感動のヒューマン・ドラマというよりも、テンポの良いユーモア溢れる感動のヒューマン・コメディといえる作品です。