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認知症をよく理解するための9大法則1原則とは?パーソンセンタードケア?認知症介護の現実は?

公開日: : 最終更新日:2016/12/14 美容、健康、その他

認知症の患者数は、日本全国で2012年の約462万人から、
2025年には700万人超(65歳以上の高齢者のうち、5人に1人が認知症)
という推計が出されています。

現在、医療分野においては、
認知症への対応は、薬物療法だけでは不十分であり、
リハビリテーションを含めた非薬物療法や
介護を的確に行うことも極めて重要であるとされています。

それは、認知症のほとんどが進行性疾患であり、
完治する可能性がきわめて低く、
単一の治療法では対応できない難知性疾患であるからでしょう。

なぜ治らないのか・・・・・?

認知症の1つである「アルツハイマー病」では、症状が現れるずっと前から、
原因となる「アミロイドβ」の蓄積が始まっているといわれています。

一般に、アルツハイマー病の症状発現は60歳以降とされていますが、
具体的には50歳ごろからアミロイドβの蓄積が認められると考えられています。

つまり、認知症の症状が現れたときには病状はかなり進行していて、
治療に取り組むには手遅れだということです。

では、どうすれば治る可能性があるのか・・・・・?

症状が出現する前の段階、いわゆる「未病」のアルツハイマー病をいかに見つけ出せるか、
そしてその段階で、開発中の薬物を用いていかにして発症を阻止できるか、
ということにかかっています。

要するに、「超早期発見・超早期治療」が今後の大きな課題といえます。

ちなみに、現在のアルツハイマー病の治療薬物は、
コリンエステラーゼ阻害薬など4種類ほどが「症状改善薬」
として有用性が認められていますが、根本的な治療薬ではありません。

さらに、それらの治療薬の効果についても、
患者や家族の満足度は決して高くはありません。

そんな根本的な治療薬の開発が期待される一方で、抗精神病薬を多用せず、
診療やケアのスキル向上を図り、対応していくことも重要とされています。

それでは、リハビリテーションや介護(ケア)などはどのようなレベルにあるのでしょうか?

考え方の基本は、 『パーソンセンタードケア』

つまり、認知症の患者本人を中心としたサポートで、
本人が見えている世界をその視点に立って理解してあげる必要があるということです。

【認知症の症状をよく理解するための9大法則1原則】

【第1法則】
記銘力低下、全体記憶の障害、記憶の逆行性喪失が認められるという記憶障害の法則。

【第2法則】
より身近な者に対して症状がより強く出るという、症状の出現強度に関する法則。

【第3法則】
自分にとって不利なことは認めないという自己有利の法則。

【第4法則】
正常の部分と認知症として理解すべき部分が混在するというまだら症状の法則。

【第5法則】
自分の言動や聞いたことはすぐ忘れるが、感情は残るという感情残存の法則。

【第6法則】
1つのことにこだわりつづけるというこだわりの法則。

【第7法則】
強く対応すると強い反応が返ってくるという作用・反作用の法則。

【第8法則】
全ての認知症の症状は老年期の知的機能低下の特性から理解・説明できるという法則。

【第9法則】
認知症の人の老化速度は非常に早く、
認知症高齢者の4年後死亡率は83%に及ぶという衰弱の進行に関する法則。

『1原則』
認知症の人が形成している世界を理解し、大切にし、
その世界と現実とのギャップを感じさせないようにするという介護の原則。

このように、認知症の症状は、記銘力低下や全体記憶の障害をはじめ、上記の9大法則などがあり、
それらに症状の重症度を加えると、驚くほど多彩な症状を呈します。

それに対し、『1原則』に示したような介護の原則というものを守り、
しっかりと対応できるかというと、かなりの無理があります!!

例えば、
「モノ盗られ妄想(誰かに自分の所有物を盗まれたという妄想)」の症状が出現すると、
倉庫を施錠するために錠前を購入してきます。

⇒そのうちに錠前を紛失します(どこに置いたのかわからなくなります)。

⇒そしてすぐに新しい錠前を購入してきます。

⇒「この前買ってきたばかりだから」と言っても、
「そんなもの買ったことはない!」と言い張り、怒り出します。

⇒この繰り返しですぐに数千円くらいの出費になります。

認知症においては、このようなことがさまざまなことについて発生しますので、
経済的な損失もかなり大きいことを理解しておく必要があります。

このような状況の中で、果たして
「認知症の人が形成している世界を理解し、大切にし、
その世界と現実とのギャップを感じさせないようにするという介護の原則」
をどれだけの人が実践できるでしょうか・・・・・?

医療従事者は、認知症患者と一緒に生活しているわけではありませんし、
仕事として接していますので、理想論のもとに優しく親切に対応することができますが、
毎日毎日とんでもないことの連続に付き合わされ、振り回される家族においては、
「いい加減にしろ!」という気持ちが強いといいます。

「治そうとするのではなく、本人と家族が穏やかに在宅生活を継続できるよう、
チームで支えていくのが認知症の医療である」

という素晴らしい理念が掲げられていますが、
日本全国で本当に実践される日がくるのを期待したいと思います。

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