平均寿命や健康寿命は延伸!高齢者の身体機能・認知機能も向上!でもクルマの運転能力には足りない!
最近、頻発している高齢ドライバーによる悲惨な交通事故。
人間の命の大切さには年齢は関係ありませんが、80代の高齢者が起こした事故で、
これから希望と可能性に満ちた長い人生を送るであろう小学生が死亡する
という事実に、複雑な気持ちをもつ人は多いはず。
交通事故の現状を表す1つの指標と思えるデータとして、
『高齢になるほど自分の運転技術に対して自信過剰』
という結果に納得してしまいます。
理由の1つに、平均寿命や健康寿命の延伸があります。
当然のことながら、高齢による生理的な身体機能や認知機能の低下はあるものの、
クルマを運転できないほどではない(運転に要する最低限の能力は維持している)
ことが挙げられます。
このことは、ある意味では以前に比べて高齢者の身体機能や認知機能が
向上してきたとも考えることができます。
実は、これを裏付ける研究があります。
南デンマーク大学の加齢研究センターによると、
『90歳代に達した高齢者の身体機能や認知機能は、10年前に比べて向上している』
ということがわかっています。
研究内容は以下のとおり。
・デンマーク国民のうち1905年に出生した92~93歳の高齢者2000人超と、
1915年に出生した94~95歳の高齢者1500人超を比較。
・比較した項目は、【身体機能】と【認知機能】。
・結果は、1905年に出生した集団に比べて、
10年後の1915年に出生した集団は年齢が2歳以上高いにもかかわらず、
95歳まで生存する率が32%高かっただけでなく、
身体機能と認知機能ともに優れていた。
これらの理由として、
・栄養、感染症による疾病負担、知的刺激、全般的な生活環境など
他の要因が認知機能の向上に影響した可能性がある。
・生活環境の改善や医療の進歩によって寿命が延長しただけでなく、
一昔前の高齢者に比べてより長期的かつ良好に機能を保つことができるようになった。
としています。
このことは、おそらく日本人にも当てはまると考えてよいでしょう。
今後、世界規模で認知症有病率の上昇によるさまざまな負担の増大が予測されていますが、
一方で、平均寿命や健康寿命の延伸により高齢者の身体機能や認知機能が向上しているのも事実。
とはいえ、あくまで「運転に要する最低限の能力」をかろうじて維持しているのであって、
「万が一のときに反応するだけの余裕はない」
状態であることをしっかりと認識しなければなりません。
クルマは生活に便利なツールであり、同時に凶器にもなりうるのですから・・・。
本来は、機能の向上といえば喜ぶべきことですが、
クルマの運転についてはそうとは言ってられない現実があります。
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