シワ取りやワキガ、脳卒中の後遺症にも行われるボツリヌス菌治療の最新治療法は?心房細動に効果!
公開日:
:
最終更新日:2015/07/01
美容、健康、その他
みなさんは
『ボツリヌス菌』
というものをご存知ですか?
「地球最強の毒素」を産生するといわれるボツリヌス菌は、
食中毒の原因として知られていますが、一方では、
その強い神経毒性作用を逆手にとって有効活用することも増えてきました。
近年では、
美容整形分野の「しわ取り」やワキガ、多汗症など、
その他、脳卒中の後遺症などで手足の筋肉が痙攣(けいれん)するような症状
に対する「治療薬」として普及しつつあります。
米国の世界的アーティストのマドンナが、
顔面のしわをとるためにボツリヌス毒素(ボトックス)
を使っていることは有名な話ですね。
顔面の表情を作る筋肉の動きを弱めることで、
シワが浅くなり溝が目立たなくなります。
そして現在、もっとスゴイことが研究されています。
米・ロチェスター大学が発表した内容は、あまりに大胆で驚くべきものでした。
このボツリヌス毒素を心臓に注射して、
心臓手術後の一般的な合併症として知られる
「心房細動」
の予防に応用しようというのです。
心房細動とは、
加齢とともに増加し、高齢者に多く見られる不整脈です。
心臓の心房内(主に左心房)で不規則な電気信号が発生し、
心房全体が小刻みに震え、
心房の正しい収縮と拡張ができなくなり、
心室に十分血液が満たされないため心臓の機能が低下し、
心臓から出る血液量も約20%減少します。
そのため息切れやめまい、胸苦しさなどの症状を起こしやすくなり、
これが続くと心不全になる可能性もあります。
当然、これらの症状は早期発見し、早期治療することが大切です。
その最新の治療法というのが
「ボトックス」
ということになりそうです。
その有効性としては、
・手術後30日以内の心房細動の発症が減少
・手術後30日~1年の心房細動の再発率が減少
・1年間の心電図記録時間に占める心房細動の発生時間の割合が減少
ということが確認されました。
そもそもボツリヌス菌は、
土壌や海、川などの泥砂中に分布している菌ですが、
ある特徴があります。
それは、一定の発育条件
・酸素がなく、
・水分、栄養分や温度が菌の発育に適した状態、
・温度3.3℃、pH4.6 以上
がそろうと、
猛毒の 『ボツリヌス毒素(神経毒)』
を産生するというものです。
日本では以前、からし蓮根の真空パックで
ボツリヌス菌による食中毒事件(死者数名)がありました。
これは、からし蓮根自体が原因ではなく、
真空パック内にボツリヌス毒素が産生される環境が整ったことが原因でした。
その事件以来、私たちの中では、
「ボツリヌス菌=致死性の猛毒」
という印象がありましたが、
視点を変えることで、
今やさまざまな症状に対する治療として活用されています。
このように、ものごとを一方向からだけ見るのではなく、
他方向から違う角度で見ると、
さまざまな分野でマイナスに捉えられていたものが
プラスに転じることも多いような気がします。
ウイルスの脅威と恩恵についてはコチラ↓↓↓
http://challenge-tt.xsrv.jp/539.html
歯科診療で行う口周りのシワ取りについてはコチラ↓↓↓
http://tt-challengemind.blog.so-net.ne.jp/2014-08-18
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