日本競泳のエース・萩野選手の復帰遅れは単にオーバーワークが原因ではない!アスリートがスムーズに復帰できないもっと深刻な根本的問題が?
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スポーツ関連
大変気になるニュースがあります。
日本競泳男子のエース・萩野公介(21歳、東洋大)選手が、
今年6月末のフランス合宿中、宿舎からプールに自転車で移動中に転倒し、
右ひじ橈骨(とうこつ)頭を骨折しました。
当初は全治2カ月という診断でしたが、大幅に回復が遅れているようです。
このことは、多くの水泳ファンも心配していることでしょう。
しかし、萩野選手の復帰遅れよりももっと深刻な根本的問題があります。
それは、
『日本を代表するアスリートのケガからの「スムーズな復帰」
を後押しできない環境が存在する』
ということです。
萩野選手の現在の状況は、
患部に痛みがあり、ひじが完全に伸びない状態で、
通常の1日2回の練習ができていない。
右肘の完治がさらに遅れると、今後の国際大会の欠場を余儀なくされ、
メダル取りどころか、リオ五輪出場さえも危うくなってきます。
このように復帰が大幅に遅れた理由については、本人も認めているように、
「ライバルである瀬戸大也(21歳、早大)選手の活躍に対する焦りから、
リハビリでオーバーワークだった」ことが判明。
つまり、復帰を焦って過剰なリハビリを行い、
せっかくの回復途中の患部に負担がかかり過ぎて再発する
という悪循環に陥っているわけです。
瀬戸選手といえば、
8月の世界選手権(ロシア・カザン)において、
400メートル個人メドレーで日本人初の連覇を達成し、
来年のリオ五輪代表にすでに内定しています。
ここで、話を本題である「深刻な環境問題」に戻します。
アスリートのリハビリについて、基本的なことを以下に記載します。
・心身ともに鍛え抜かれたトップアスリートであっても、もちろんケガや故障はあります。
そのとき大切なのは、いかに迅速かつ完璧に回復させ、
競技に復帰させるかということです。
・競技復帰への焦りからオーバーワークになりがちというのは、
特に若い選手ではよくあること。
当然のことながらメンタル面のサポートは必須です。
むしろ、順調な回復はメンタル面のコントロールにかかっている
といっても過言ではありません。
・練習量の多いトップアスリートは、
リハビリのメインとなるケガや故障のほかにも不調を抱えていることが多く、
その部分も含めトータルでリハビリを行います。
・元々身体能力の高いアスリートの場合、
リハビリを機に故障前の状態よりもパワーアップさせることが可能です。
このような基本的なリハビリができていないというのは、
大会重視で、選手の故障に対する監督やコーチなど指導者の認識が不足している
ことの表れのように感じます。
そして、選手も目先の大会出場にこだわり、
ケガや故障の完治に対する認識が低く、
競技人生を長い目でみることができない。
選手と指導者を取り巻くこのような環境が未だに残っているからではないでしょうか。
指導者に必要なことは、
故障している選手に対しては、治療に専念することを徹底し、
完治するまでは絶対に競技への復帰を認めないという姿勢です。
特に、若い選手については、
目先の重要な大会に左右されることなく、今後の競技人生を考慮して、
場合によっては直近の試合に出場させないことを明言しておくことも必要になります。
例えば、常に全国上位レベルにある高校のバレーボール部では、
故障した選手に対して
「おまえが今一番やらなければならないことは、治療に専念することだ」
と監督が指示し、ボールを触らせないどころか練習に参加させない
という学校があります。
結果、選手は順調に回復して予定よりも早く競技に復帰することができ、
万全な体調で臨んでいることから試合ですぐに結果を出すことで、
選手が自信を取り戻すのも早いということになります。
萩野選手の場合、これとは真逆の状況です。
昨年末に発症した右肩の痛みで、今回の骨折以前からハードな練習ができず、
大会でも思うような結果が出せていません。
そして、これまで競り勝ってきたライバルの瀬戸選手にも勝てない、
といった焦りからオーバーワークとなり、
完治どころか繰り返し悪化させる最悪の状況に、
おそらく自信を取り戻すのにも時間がかかるのではないでしょうか。
今後は、競泳に限らず、あらゆる競技において、
「息の長い優れたアスリートを育成する」
ための環境づくりが急務と感じています。
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