乳がん患者の生活の質(QOL)を向上させる『サバイバーシップ』とは?日本での普及に期待!
公開日:
:
最終更新日:2015/10/12
美容、健康、その他
『サバイバーシップ』
というものを耳にしたことがありますか?
米国ではよく使われる用語ですが、
日本ではまだ定訳がなく、馴染みのない用語だと思います。
米国臨床腫瘍学会が取り組む「サバイバーシップ」とは、
「がんを経験し、治癒したと考えられる人(生存者)が、
その後、生活していく際に直面する課題を乗り越えていくこと」
というのがおおよその意味です。
これには、身体的な晩期障害(治療終了後に出てくる副作用や合併症など)だけでなく、
心理的な側面や社会復帰などの経済的事象も含まれます。
がん診療については、
従来、治癒を目指した治療に重点がおかれ、
サバイバーシップに対する取り組みはなされていませんでした。
つまり、治療によって発生した障害や、精神的な問題を抱えていても、
それらに対する解決手段や相談窓口などがなく、
個人の問題として抱え込んでしまうほかないというのが現状でした。
しかし、医療の発展に伴ってがんの治癒率が向上し、
がん治療を終了して生存している人(がんサバイバー)が増えた今、
その人たちの生活の質(QOL)をどのように向上させるか
が近年の大きなテーマとなっています。
例えば、乳がんサバイバーに対するサバイバーシップでは、
・再発への不安やうつなどの精神心理的問題
・妊娠のしやすさや晩期副作用、再発、二次がん等の身体的問題
・就労や学業、経済的問題を含む社会的問題
・スピリチュアルな問題など
かなり多面的なケアが必要になります。
このように、複雑な問題を抱えるがんサバイバーの現状を踏まえ、
米国臨床腫瘍学会は、米国がん経験者連合と共同で
「サバイバー・ケア・プラン」
の開発を進めています。
これは、いわゆる「がん治療の履歴書」で、
これまでの治療履歴を1つにまとめたものです。
長期にわたるがん治療では、病院を転々とすることも多く、
そうなるとこれまでに受けた治療全体の経緯を主治医が把握しづらくなります。
しかし、「サバイバー・ケア・プラン」があれば、
そのような問題を解消することができます。
これに相当するものとして、
日本では、地域連携クリティカルパスで使用される
乳がん患者の「医療連携手帳」
というものがあります。
また、米国臨床腫瘍学会が進めているもう1つが、
「サバイバーシップ治療計画」です。
これは、いわゆる「がんサバイバーの生活設計図」で、
使用している薬の種類や量・副作用、
連携している医療機関などの治療関連情報です。
この「サバイバー・ケア・プラン」と「サバイバーシップ治療計画」を組み合わせることで、
医療者と患者とのコミュニケーションが深まり、
患者の精神的安定につながることが期待できます。
今後、日本においても、これらのツールをさらに発展させ、
がんサバイバーのQOL向上に重点をおいた医療
が普及することを期待したいと思います。
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