大ピンチ?!介護保険制度の行き詰まり?国民は負担増大に耐えられるか?優遇政策で財政難を解消できるか?
日本で2000年に介護保険制度がスタートし、将来の恒久的な制度を目指して
これまで試行錯誤を繰り返しながら現在17年目を迎えていますが、
ここにきて行き詰まりが見えてきました・・・・・。
それはもちろん『財政難』です!
介護保険制度が始まった2000年度の介護保険費用は約3兆6千億円。
それが現在は、すでに10兆円を超え約3倍となっています。
さらに、団塊の世代がすべて75歳となる2025年度には
約20兆円を超す見通しとなっています・・・・・。
40歳以上の人が負担する保険料の額をみても、
現在の平均額5514円から8000円超に膨らむと見込まれています。
考えることが嫌になるくらい、とても恐ろしいことになりそうです・・・・・。
そこで、2018年度からある『優遇策』が始まります。
それは、
「高齢者の介護予防や状態の改善に取り組み、その成果があった自治体の交付金を増やす」
というもの。
そして、その手段として注目されるのが、
介護保険を使う際に必要なケアプラン(介護計画)をチェックする
『地域ケア会議』
といわれるもので、すでに設置している自治体もあり、実際に成果が出ているようです。
この優遇策については、今年5月に成立した介護保険法の改正法で決定し、
自立支援や重度化の予防に取り組む自治体には来年(2018年)度から
国からの交付金が優遇されることになりました。
その重要なポイントは、
「介護計画が高齢者の自立や重度化の予防につながっている」
という一定の効果が出ることが条件となっており、
この地域ケア会議の取り組みが広がることも期待されています。
ちなみに、今回の介護保険法などの主な改正ポイントは以下のとおりです。
1)現役世代並み所得の人の利用料の自己負担が2割から3割になる(2018年8月から)。
2)40~64歳の介護保険料が収入に応じた金額になる(2017年8月から)。
3)療養病床を『介護医療院』に転換する(2018年4月から)。
今回の国の最大の狙いは、『介護保険の財政難を解消する』ことにあります。
つまり、優遇策を導入することで自治体の取り組みを後押しし、
結果的に介護費用の抑制につなげるのが目的です。
【大分県の例】
・2012~2014年度の介護保険の給付費は、直近の3年間から17.2%拡大。
・地域ケア会議の設置により17.2% ⇒ 13%に縮小(104億円の給付費用の抑制効果)。
ただし、この優遇策については以下のようなさまざまな問題点も挙げられています。
・単に自治体間の要介護認定率の引き下げ競争となり、介護サービスの提供にあたり、本人不在の事態に陥る可能性がある。
・自治体や事業者が数値目標を追いかけるあまり、高齢者が意に反して自立支援のためのリハビリなどを強制されるなど、不適切なサービス提供につながるのではないか。
・事業者やケアマネージャーに競争を求めることになり、改善が見込めないケースに対してサービス提供を拒否したりする事案が出てくるのではないか。
などなど、決してあってはならないことが予測されます。
しかしながら、本来、介護保険の大きな目的の1つが『自立支援』であることから、
介護予防や重度化予防に努力し、できる限りの成果を上げることは
自治体や事業者の責務です。
ところが、現状はどうでしょうか・・・・・?
単なる規制緩和に乗じてさまざまな(全く関連のない)分野から『介護ビジネス』へと参入し、
しっかりとした理念や展望などを持たないまま利潤追求に走り、
介護保険を食いモノにしている事業者が多いのも事実です。
このような現状に対し、優遇策の導入は必然的な政策と受け止めざるを得ないのかもしれません。
なにはともあれ、今後、日本人が最も取り組まなければならないことは、
「介護保険にかじりつきたい」「介護保険料を支払っているのだから使わないと損」
という意識の変革ではないでしょうか・・・・・。
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