高層マンションでは3階以下に住む若い女性が助かり易い?ブルジュ・ハリファではどうなるのか?
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美容、健康、その他
世界一高い超高層ビルといえば、
2010年に開業したアラブ首長国連邦ドバイにある
『ブルジュ・ハリファ』
全高(尖塔高)828.0 m、206階建て。
これはケタ違いだとしても、高層マンションや高層ビルが多いのは、
国土の狭い日本やシンガポールなどの特徴ではなくなり、
今や高層階の建物が世界中のあらゆる都市の象徴である
ことを競い合うかのように乱立しています。
そしてこれらを見て心配になるのは、
「大地震が起きたらどうなるのか?」
「消防車が届かない高層階で火災が発生したらどうやって消火するのか?」
などなど。
このような状況はカナダでも同様で、
都市部を中心に高層マンションの居住者が大きく増加しています。
そして近年、この高層マンションに入居する高齢者が増加し、
しかも不思議なことに「高層階」への入居率が上昇しているというのです。
高層階に住む人の40%以上が65歳以上の高齢者との調査報告もあります。
そうなると当然のことながら、
問題の発生率が上昇するのもなんとなく予想できます。
「高層マンションへの救急隊の出動要請」が増えているというのです。
そこで、カナダの聖ミカエル病院が、
『マンションの居住階別の心停止後生存率』
について研究結果を報告しています。
ご存知のとおり、高齢者は心停止を含む重篤な疾患のリスクが高く、
心停止からの時間経過が長いほど蘇生率が低下します。
このため、高層階での心停止患者の場合、
これまでの救急出動要請から救急隊の現場到着時刻で考えるのではなく、
実際に心停止患者に接触するまでに経過した時間
を考慮しなければならないということになります。
今回の研究では、2007年~2012年の
トロント市内の高層マンションで起きた心肺停止7842件について、
高層階と低層階による心停止後の生存退院率の違いなどを検討しています。
その結果、
5998件(76.5%)が低層階(3階より下)で、
1844件が高層階(3階以上)で発生しており、
生存退院率は高層階居住者に比べ、低層階居住者で有意に良好でした。
そして、生存退院率が低下する関連因子として、
「年齢」「男性」「3階以上での患者との接触」を挙げています。
つまり、高層マンションで心肺停止となった場合、
「3階より下の低層階に住んでいて、年齢が若く、男性より女性のほうが助かり易い」
ということです。
さらに、居住階別の検討では、
「16階以上の居住者の場合、生存退院率が0.9%にまで低下し、
25階以上の居住者の場合、生存者はゼロ」
との結果が示されました
(ただし、今回の検討では高層階全体での心停止件数が少なかったため一概には言えませんが・・・)。
この研究の結論としては、
『高層マンションの高層階に住む人ほど、心停止後の生存率が低下していた』
ということになりました。
生存率を向上させる対策としては、
救急出動要請から心肺停止の患者に接触するまでの時間
をいかにして短縮するかということになりますが、
具体策はあるのでしょうか?
救急隊専用の超高速エレベーターの設置を義務づけるとか?
世界各国での対策に注目したいと思います。
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